私が下眼瞼手術の術後の合併症である外反(下眼瞼後退、三白眼などを含む)になってしまった方々に対して、植皮手術による修正手術を行うようになってちょうど10年になります。これまで100例以上を手掛けてきましたが、10年前の11月に、初めて植皮による下眼瞼の修正手術を行った方の症例をご紹介します。
当時60代の方で、左の頬に大きな母斑(あざ)があり、数年前にそれを取り除くために、そけい部(太ももの付け根)から皮膚を植皮したとのことです。しかし、ご覧のとおり、左の下まぶたが大きく垂れさがり、あっかんべーの状態になっています。
左の下まぶたが外反しています。
右は正常です。
考えられる原因は、植皮の皮膚の大きさが足りなかったことによるものか、経過とともに植皮皮膚が萎縮してしまったかによるものです。ちなみに母斑(あざ)が皮下組織に取り残されているため、皮膚を通してところどころ透けて見えています。
初めて拝見したときには、さてどうやって治すべきか、そもそも治すことができるのか悩みました。国内外の医学書や文献ではV-Y法、Khunt-Szymnowski Smith変法、Lateral tarsal strip procedure法などが記載されていますが、どれもこの方の外反の症状を確実に治すには今一つ決めかねられず、「足りない皮膚を補う」という考えのもとに植皮法を選択しました。
この方は、左の下まぶたのたるみを気にされていたので、そのたるみ取り手術を兼ねて、植皮を行いました。
植皮手術前
手術中
植皮手術後2週間
皮膚は生着し、外反がきれいに治っています。
残念ながら、患者さんは引っ越しされたためにその後は来院されていませんが、約半年後に、ご本人から経過が問題なく、結果にとても満足されている内容のご丁寧なお手紙をいただきました。
この経験を活かし、この10年間、数多くの植皮による下まぶたの外反修正手術を手掛けてきました。
昨年、日本美容外科学会(JSAS)でも発表し、学会誌委員会より執筆依頼をいただいたので、近々、正式に医学論文として発表される予定です。
お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
私どものクリニックの下まぶたの修正ページはこちら。
(PC)http://www.keisei.ne.jp/futae/shusei/shita.html#navi01
タウン形成外科クリニック